札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
今までロベールのこと以外は、なんだってアリスの言うことを聞いてくれた。
なんでも、だ。

なのにどうしてロベールだけがダメなのか理解できなかった。
若くして公爵家の当主になった彼を、ずっとずっと影で支えてきたのはアリスだ。
それにエンバルト公爵邸に一日中滞在しても、彼は文句を言ったことはない。
今回『もう帰ったほうがいい』と、アリスのことを心配することはあっても拒絶されたことはなかった。

(わたくしはロベール様に愛されているの。それだけは間違いないんだから!)

だからアリス以外を妻にしたのは何かの間違いだろう。
少しの浮ついた気持ちくらい、理解してあげるつもりだ。
ロベールを心から愛しているアリスだからできること。
あの田舎貴族には絶対にロベールを幸せにできない……それだけは決定事項だ。

今回、アリスはオリヴィアに紅茶をかけてしまい、ロベールに見つかったてしまった。
そこでほんの少しだけは怒られてしまったが、またすぐに寂しくなってアリスを必要としてくれるはずだ。
そのうち飽きるに違いないと思っていた。

(今、わたくしが動くのにはリスクがあるわ。あぁ、そうだわ……いいことを思いついた)

彼が結婚相手を選ぶ際、数人は貴族の令嬢が紛れ込んでいた。
アリスに見つからないように平民に変装していたが、絶対に見逃さなかった。
あとで彼女たちを罰するつもりだ。

(わたくしのロベール様を狙うなんて、バカなやつらに教えてあげないといけないもの)

アリスは廊下に立って、その様子を見ていたが、一人だけ馬鹿みたいに派手な格好をして、大激怒して帰っていた令嬢がいた。
< 132 / 216 >

この作品をシェア

pagetop