札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「あなたがロベール様に結婚を申し込んだからに決まっているじゃない」
「……!」
「本当は気づいているんでしょう?」
アリスはサンドラを睨みつけながら首を傾げた。
「で、でしたらわたくしだけ責めるのはおかしいですわ! 他にも何人か令嬢がいらしたのにっ」
「ああ……それなら大丈夫よ。このあと全員処罰する予定だから」
「──ッ!」
「一人残らずわたくしが潰すの」
サンドラの腕がガタガタと震え始める。
彼女は震えを抑えるように自らを抱きしめるように腕を回した。
「わたくしを騙そうとするなんて許せるはずないでしょう? でもあなたは堂々とやってきた……ねぇ?」
「……っ!」
「今、困っているんでしょう?」
「そ、そうです……お父様にっ、どうしてもと言われて……わたくしら嫌だった。それにあんなお姿を見て結婚なんてしたくありませんわ!」
サンドラは涙目でそう訴えかけた。
あれはロベールの本当の姿ではない。
そんなことにも気づかずに彼を否定するのは許せないが、気持ちはないと言いたいのだろう。
(でもダメ……あの場にいた時点でお前は終わりなのよ)
グミーダ伯爵はサンドラを使い金と名誉を得て、あわよくば家を立て直そうとした。
他の令嬢たちも同じような理由でやってきた。そして彼に追い返されたのだ。
それにサンドラが目立っていたことで、他の令嬢は隠れられたつもりだろうが、アリスはすべてわかったうえで泳がせているだけだ。
エンバルト公爵邸に行けないうちに全員、処罰するつもりだった。