札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
アリスはすぐにグミーダ伯爵邸へと向かった。
怪訝そうな顔をしていたサンドラは、いつも豪華なドレスに身を包んでいたのに今はかなり質素だった。
男爵令嬢のほうがまだいい身なりをしている。

すぐにロベールにアピールするためにエンバルト公爵邸に訪れたことを思い出したようだ。
アリスは廊下に佇んでいたが、彼女は隣にいる侍女に怒っていることで気づかないフリをしていた。

社交界でアリスがロベールを好いているということは誰もが知っていることだ。
彼に近づこうとする不届者は、アリスが公爵家の圧力を使って全力で潰してきた。

サンドラはアリスが報復に来たのかと焦っていた。
いつもの余裕がある表情は消えて、怯えるように視線を逸らしてしまった。 
どうやらまだロベールとオリヴィアの結婚は、まだ社交界に広まっていない。
それは彼が情報管理を徹底しているおかげだ。そんなところにも惚れ惚れしてしまう。


「あなたに頼みたいことがあるの。もちろん聞いてくれるわよねぇ?」

「な、なんでしょうか……」


明確な表現はしないが、サンドラは何を言いたいのか理解しているのだろう。
アリスは余裕な表情で笑みを浮かべているのに対して、サンドラはこちらから目を背けていた。


「ロベール様に近づく、ある女を排除してほしいの」

「どうして、わたくしに……?」


アリスから笑みが消える。サンドラがロベールに近づいたことを許したわけではない。
彼女にはそれ相応の罰を受けてもらわなければならないのだ。
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