札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「やはり図々しいですよね……! いつもの量でも全然幸せなので大丈夫です。ごめんなさいっ」
「はぁ…………違う。逆だ」
「……逆?」
牛肉の反対は何かと必死に絞り出すものの、何も思いつかない。
(どういう意味……!?)
オリヴィアが戸惑っていると、ロベールはパチリと指を鳴らす。
すると扉の外からマルセルの声が聞こえた。
「オリヴィアのために、今すぐに牛を買い付けろ」
「ブッ……かしこ、まりました」
何故か笑い声が一瞬だけ聞こえたような気もするが、気のせいに違いない。
次に現れたアイナスにも彼は指示を出していく。
今度はシェフにステーキを用意しろと言っていたのだが、マルセル同様にロベールも声が震えていて笑っていたような気がした。
(も、もしかして願いを叶えてくれたの? こんなにすぐに?)
こんなにも早くステーキを食べられるのは感動だった。
すぐに対応してくれたロベールには感謝するばかりだ。
「ロベール様、ありがとうございますっ!」
「ここくらいなら今すぐにでも叶えることができる。もっとマシな願いはないのか? ふざけているなら……」
「嬉しい……お肉がお腹いっぱい食べられるなんて本当に夢みたい!」
「…………!」
ロベールは何かを言っていたが途中で言葉を止めた。
そして心底嬉しそうにするオリヴィアにわずなに目を見開く。
オリヴィアは両手のひらで口元を押さえながら、よだれが垂れないようにするのに必死だった。
「他には?」
「もう思いつきません」
「嘘だろう?」
「本当ですよ。今のこの生活に不満はありませんから」
オリヴィアは首を横に振りながら答えた。
するとロベールは突然、オリヴィアを押し倒す。
よだれを抑えることに必死だったオリヴィアは、大した抵抗もできないままベッドに倒れ込んだ。
「……ロベール様?」
「オリヴィア……」