札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
オリヴィアの手元で食器がカチャリと音を立てた。
彼の不思議そうな視線がここまで届く。


「ど、どうして……!」

「君が〝欲しい〟と言ったのだろう?」

「……ですが、そこまでしていただいてもいいのでしょうか?」

「当たり前だ」


こんなに贅沢をしていいのだろうかと、助けを求めるように周囲に視線を送る。
しかしマルセルもアイナスも微笑んでいるだけ。エリーも無表情で瞼を閉じていた。
ロベールも当然のように言っているが、誰もそれを止める人もいない。


「それと今日は買い物に行こう」

「買い物ですかっ!?」


さらに追加される提案に、オリヴィアの声が裏返っていく。
まだ何も返していないのに彼は与えてばかりだ。
このままだと借金が積み重なっていくような気がして、遠慮の気持ちが湧き出てくる。


「君は俺の妻だろう?」

「それは……そうですが、わたしはこれ以上なにも返せません」

「オリヴィアがそばにいてくれたらそれだけでいい」

「…………!」


ロベールの言葉にオリヴィアの眉がピクリと動く。
こちらを熱く見つめられているため、気まづくて視線を逸らす。

(こんな手のひら返し、聞いてないんですけど……)
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