札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
すると肉が焼けるいい匂いが辺りに漂っていた。
露店が多く出ており、真っ白な煙を出して肉を焼いている店に釘付けになった。

(串に肉塊が刺さっているわ。懐かしい……!)

オリヴィアがよく山で捕まえてきた獣の肉焼きにそっくりだった。
匂いに誘われて肉焼きを凝視していると、ロベールはじっとその様子を見ていた。


「あの肉焼きが食べたいのか?」

「あっ、はい……懐かしくて」


ロベールをベンチに座らせると、肉焼きを買いに向かった。
しかしうまく買えないらしく、時間がかかっているようだ。

(もしかして露店で買ったことはないのかしら……)

今まで見ていると、すべて高級店で行き慣れている感じがした。
しかしお金のやりとりで店側が戸惑っているようだ。

(ふふっ、かわいらしいところもあるのね……!)

影蜘蛛たちも徐々に不機嫌になっていていくロベールに、教えようか教えまいか迷っているように見える。
マルセルとアイナスは仕事を任せていて屋敷に置いてきたそうだ。
オリヴィアが微笑んでいると、どこからか『たすけてぇ……!』と、子どもの声が聞こえた気がした。

(今、声が……! 気のせい?)
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