札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
(……たしか影蜘蛛たちが怪我をしたのもグミーダ伯爵家のパーティーだったんじゃ)

オリヴィアはあのときのことを思い出す。
怪しい家々に影蜘蛛たちを派遣していたようだ。


「アリスの関与は?」

「……恐らくは」

「だろうな」


彼らによれば、アリスがロベールに近づこうとする令嬢に圧をかけるのは、いつものことだそうだ。
それにサンドラというのは、オリヴィアが娼館の面接だと勘違いしていた際に一番目立っていた貴族の令嬢らしい。
そして怒鳴り声を上げながら帰っていったことが印象的でよく覚えていた。

その令嬢とアリスが繋がっていて、こうしてオリヴィアを山に捨てる作戦を企てたというのだろうか。


「どうして山に捨てるのでしょうか」

「令嬢がもっとも絶望するからじゃないか」

「そう……なんですか?」

「オリヴィアには、まったく効果はないようだな」


そう言ったロベールはオリヴィアの口元を親指で拭った。
どうやら口端に肉汁か何かついていたようだ。
マルセルがすかさずロベールにハンカチを差し出す。


「オリヴィア、ありがとう」

「……はい」
< 211 / 216 >

この作品をシェア

pagetop