札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~

「そもそも娼館は……ゴホン、いややめておこう」


結局は父は何も教えてはくれなかった。
オリヴィアは今更ではあるが娼館というものがふんわりとしか理解できていない。


「まぁ、つまりだな。オリヴィアは結婚相手を探していたエンバルト公爵に見染められたということだ」

「見染められた? ありえません」

「…………だろうな」


ロベールはそんな雰囲気を一切出していなかった。
娼館の面接だと勘違いしたままでいられるほどに業務的で淡々としていたように思う。
それよりも試されていたという感覚には近いのかもしれない。


「それにこの破格の条件だ。この結婚で相当生き残ること自体が大変なのではないか?」

「生き残る……? 公爵家ですよね?」


ここでオリヴィアは、エンバルト公爵家について初めて詳しく聞くことになる。

(もしかして強い女性を探していたということ?)

娼館で働くと思っていたオリヴィアだが、その認識を改めなければならない。
父が言うには、これは条件付きの契約結婚だ。
ディルムーン辺境伯に金銭的援助をする代わりに、エンバルト公爵家で生き残ればいいという試練なのではないだろうか。
それはオリヴィアにとって娼館で働き、奉仕するよりもずっといい。
それも一年、耐えるだけで大金が手に入る。
さすがに一年だけとは父の手紙には書いていなかったようだ。
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