札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
オリヴィアからスッと視線を逸らすと、考え込むような素振りを見せる。

(……なんだったの?)

オリヴィアはロベールの不思議な行動に振り回されっぱなしだった。
彼は書類に手を伸ばして確認している。
やはりオリヴィアの隣から動くつもりはないようだ。

誤魔化すように外を見ていると変わっていく景色に目を奪われる。
ほとんどディルムーン辺境伯から出たことがなく、ジョセフィーヌに乗ってエンバルト公爵領に流れ着いた時も景色を楽しんでいる余裕はなかった。
そのため、窓から見える景色がすべて目新しく見えた。
たまにジョセフィーヌがアイナスを乗せて、心底嬉しそうな姿が視界に映る。

(ジョセフィーヌ、すごく嬉しそうだわ……)

それから急ぎ目で二日半ほど。
ロベールと馬車の中で共に過ごしてわかったことは一つだけだ。

(……この人、ずっと仕事してる)

影蜘蛛たちが、定期的にロベールのもとへ大量書類を大量に運んでくる。
それに居眠りしていたオリヴィアが目を覚ますと、いつのまにか少年の姿ではなくなり、大人の男性の体格に戻っていた。

(これが元の骨格なのかしら……)

隣にいた理由はオリヴィアが前にいると書類の整理ができずに邪魔だったからではなかったのだろうか。
勘違いしていた自分が恥ずかしい。
彼は影蜘蛛たちに指示を出していく。
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