札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
いつのまにかオリヴィアの背後に音もなく立っていたのはエリーという少女だった。
そばかすとおさげ髪の若い侍女は深々と頭を下げた。
無表情で何もいうことはないが、彼女はじっとオリヴィアを見た。


「では、また夜に」

「…………え?」

「エリー、あとは任せた」

「かしこまりました」

「マルセル、アイナス、行くぞ」

「「はい」」


部屋から出ていくロベールたち。丁寧に腰を折るエリー。

(夜……? 夜って……)

どうやらロベールは夜にここに戻ってくるつもりのようだ。
となるとこの広いベッドで一緒に寝るということだろうか。

(自分の部屋だったんだから当たり前よね)

なんとなくではあるが、オリヴィアの頭にあることが過ぎる。

(ま、まさか初夜のことじゃないでしょうね? ううん、気のせいよ! きっと一緒に過ごすだけだから……)

オリヴィアは大きく首を横に振った。

(そんなわけないわ。だって契約結婚だもの! それにまだ互いのことを全然知らない。でも貴族の結婚はそういうものだとお兄様が言っていたような……)
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