札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
オリヴィアの視線はマドレーヌやクッキーへと向かう。
周りには花びらが散らされていて、おしゃれでかわいらしい。
強いて言うならば、量や肉々しさが足りないということだろうか。

そんなことを考えている間にエリーが淡々と準備を進めていく。
ライトブラウンの髪を綺麗にまとめて、眼帯をしてあり片目は隠れていた。
どこか憂いを帯びたグリーンの瞳と袖から覗く細い手首が女の子らしくて羨ましいと思える。
オリヴィアがじっとエリーを見つめていた。


「エリーは綺麗ね」 

「……え?」

「え……?」

「っ、大変失礼いたしました」


聞き返しただけなのに、突然謝り出したエリーに驚いてしまう。
儚い雰囲気が母に似ているが、辺境にはいないタイプなので思わず心の声が口から出てしまったのだ。
準備の手を止めて深々と頭を下げるエリーに逆に申し訳なくなり、オリヴィアは声を出す。


「ご、ごめんなさい! そんなつもりはなくて……」


慌てて首を横に振るオリヴィアだが、エリーは頭を上げることはない。
何かに怯えるような彼女の震える手が気になった。
それと天井や隣の部屋に潜んでいるであろう数人の影蜘蛛たちもだ。

(もしかして見張られているの? エリーも込みかしら)

だったら彼女が怯えている理由はなんとなく理解できる。


「エリー、一緒にお茶にしましょう!」

「…………!?」

「あなたと仲良くなりたいの。辺境伯邸に侍女はいなかったから、いろいろと侍女の仕事を説明してくれない?」

「あ、の……」


明らかに戸惑っているエリーだが、オリヴィアも何が正解なのかわからない。
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