恋の終電列車
 あの出来事は幻のように感じてしまい、何だか自分があんなに醜態を晒したことにも笑えてきてしまう。

 元々決まった電車の決まった区間にしか乗車しない私は、あの日の出来事は凄く稀だった…。

 今まで終電まで乗ってしまった事もなければ、泥酔して眠りこけてしまい、駅員さんに起こされた事もない…。

 おまけにあの駅員さんの情報が終電で起こされたおそらくあの駅の駅員さんだと言う事以外何の情報もない…。

 名前も知らなければ年も知らず、ただあの駅で起こされ私を元気づけてくれたと言うことだけなのだ。

 「一言お礼くらい言いたかったのにな。」

 私はどうやって会ったらいいかも分からないあの時の駅員さんに思いを馳せた。

 あの後あの駅員さんに一言お礼を言いたいとあの駅まで足を運んでみた…。でも、探してもあの駅員さんの姿はどこにもなく、仕方なく諦めたのだ。

 あの駅で出会ったと言う以外に何も情報はない。お礼を言えなかったことに心残りはあるが、こうしてお礼が言えないのも縁がなかったのだと自分自身で勝手に納得し、もう諦めることにした…。
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