余所者-よそもの-【 3 】
76話:ヤクザ医師
――――……
――………
――千景は、夢を見ていた。
冷たいコンクリートで囲まれた地下室。
六畳ほどのスペースに、壁に固定された簡素なシングルベッド。
簡易の洋式便器に、水の出る蛇口が一つだけ。
この牢屋みたいな部屋で、僕は今日もギリ生きている。
「ウウウ……」
白い頭を掻きむしると、爪の間に白いフケが挟まった。
不潔な爪先をじっと眺めていると、目の前の鉄扉がギイイ、と音を立てた。
小さく開いたのは、鉄扉に設けられた小窓。
そこから、白いプラスチックのトレーが静かに差し出される。
「飯だ」
トレーに乗るのは、ステンレスの食器に入った食事。
ホクホクと湯気を立てるそれを手に持っているのは、ヒゲ面の無骨な男。
「おうおう。ものの見事に死にかけてんな、お前」
わずかに笑うこの男は、僕の命綱。