余所者-よそもの-【 3 】


「……野間くん、シドを呼んでくれない?」

「………」

「シド、もう帰ってくる?」

「カナコさん、落ち着いてください」

「お腹が空いたの。野間くん、ここを開けて」

「だから、……この扉は……僕じゃ、」

「気が狂いそうなの」

「わかってます」



「シドに、会いたい」



呟いた瞬間、扉の向こうで――ダンッ!と、固いものを殴りつける音が響いた。


「どうかしたの?」

「どうもしてませんよ……僕は」

「大丈夫?」


不安になって声をかけると、今度は私の目の前の扉が、ドン……、と控え目に叩かれ、カタカタと小さく揺れた。



「カナコさん」



重く苦しげな声が、木製の扉を隔てて、すぐそばにあった。





「部屋に置かれてる水は、飲まないでください」





私の手には、飲みかけのペットボトル。

足元には、何本もの空のペットボトルが転がっていた。



私は特に何も感じないまま。


ただ、それらをぼんやりと見下ろした。


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