余所者-よそもの-【 3 】


もう、我慢ができなかった。

ドンッ!と狭い部屋に殴打音が鳴り響く。


僕は壁を拳で殴った。


「……なにっ」


見ていられない。

怯えるママを、問答無用で抱き上げた。


「帰ろう……お願いだ」

「やだ!」

「大丈夫だから」

「ここから出さないでっ」


僕は下唇を噛んだ。


どれだけ、傷つけられた。

どれだけ、心を踏みにじられた。


どれだけ……辛い時間を過ごせば、ここまで壊れられる。



「ダメなの、帰らない!」

「……ママは、ドラッグで自分がわからなくなっちゃってるんだ!!」

「違うっ!」

「今度はちゃんと、ママの帰りたいところに返してあげるからっ!」

「千景……」

「あれだけ……あれだけ僕に、帰りたいって言ってたじゃないか……っ!!」


「……だからだよっ!!」


ママはそう叫ぶなり、物凄い力で暴れ出した。

力で押さえつけると、細い身体が苦しそうな声を出したので、咄嗟に腕を解く。


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