余所者-よそもの-【 3 】
やがてエレベーターを降りて、エントランスから外に出る。
すぐに車のエンジン音が耳に触れ、
――ガチャ、とドアを開く音が聞こえると、私の身体は後部座席にそっと預けられた。
逃げなきゃ。
そう思うのに。
「………」
運転席に座る知らない男に、前から肩を掴まれ動けない。
隣には、地下の売人がまだ開けっ放しのドアの前に立っている。
「マジか」
彼は突然、唖然とした様子でそう呟いた。
アスファルトの上にある足先がじり、と地面をにじる。
地下の売人の顔を見上げると、その目はマンションの入口に向けられていた。
視線を辿るように、後ろを振り返ると。
そこには――……
「返せ……!!」
マンションから出てきた、リンコがいた。
痛めてしまったのか、片腕を抑えて、片足を引きずりながら。
それでもじりじりと、こちら目がけて一直線に向かってくる。