余所者-よそもの-【 3 】



「……なんで?」

「………」


久しぶりの外気。

夕風に靡く自分の髪を逆さになって見つめながら。

大して抵抗できない身体の代わりに、言葉で懇願するしかなかった。


「ねぇ。放して」

「………」

「降ろして」

「………」


地下の売人は黙ったままエレベーターに乗り込む。


「放してよッ!!!」


狭いエレベーターの空間に、張り上げた声が反響する。


「何も心配しなくて大丈夫だよ」

「放してっ!!」

「あまり説明する時間がなくて」

「要らないッ!ここから下ろして……!」

「怖がらせちゃって、ごめんね」


だけど返ってくる言葉は、私の感情も意志も、まるで汲み取ってくれない。

極めて穏やかに、宥めるように、肩の上に乗る私の腰をよしよしと撫でつけてくる。


「………」

「………」


この温度差が、余計に私を絶望的な気持ちにさせた。


この人は、何をどう言おうが、私をここから連れ出す。

話にならない。

話しても、無駄。


そんな風に思わせた。


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