余所者-よそもの-【 3 】
「チカ様。どうして俺を回収したんですかぁ?」
「何のために僕があのデカブツを相手にしたと思ってる」
「俺を待ってた?」
「うん」
「置いていけばよかったのに」
「ギリ生きてたから」
「にゃるほど。生きててよかったぁ」
二人の会話を耳に流しながら、私の手はドアにかけていた。
隙を見て、車から飛び出そうと思っていた。
だけど、
「………」
車を運転する地下の売人が、ずっとミラー越しに私を見張っている。
「デック、後ろ行って。逃げちゃいそう」
「あいぃ」
助手席から移ったデックがドサリと、私の隣のシートに身体を預けた。
「しっかし……くたびれたぁ」
「見張り、誰がやってたの?」
「名前忘れちゃいましたぁ。マジでクソじゃないですかぁ?女しかいないって聞いてたから油断した。怪物じゃないですか、あれぇ」
リンコは大丈夫だろうか。
いつも綺麗な姿で笑顔を咲かせていたリンコは、顔も身体も傷だらけだった。
私を守るために、あんな姿になりながら、最後まで闘ってくれた。
「………」
ミラー越しに地下の売人を睨みつける。
リンコを傷つけた。
あの日、ユキを傷つけたのも、きっとこの人だ。
胸の奥で、静かに怒りが膨らんでいく。
それでも黙って車に揺られることしかできない自分が、何より、一番……腹立たしかった。