余所者-よそもの-【 3 】
――シャ、とベランダのカーテンが開かれる。
入ってきた日光に、瞼がぎゅっと下がった。
すると、身体を包む千景の腕と胸がミシミシと硬く強張った。
そう思った瞬間、
――ガシャンッ!!とけたたましい破壊音が響き渡る。
千景が、窓ガラスを蹴り破ったんだ。
外から風が舞い込んでくる。
風に乗せて、千景の声が耳を撫でた。
「――飛ぶ。ママ、僕にしっかり掴まって」
飛ぶ?
意味もわからないまま、反射的に千景の首に腕を回した。
身体の重心が、深く沈む。
――ギシリ、と千景の脚が軋んだと思うと、バネに弾かれたみたいに飛び上がった。
「……え?」
千景は私を抱いたまま、ベランダの縁に跳び乗っていた。
アパートの二階。
ひゅうひゅう、と大げさに吹き付ける風が、私を脅かす。
「い……いやだ、千景!……怖いっ」
目を塞ぐように、彼の首元に顔を埋めた。
千景は私の頭を二度だけ撫でてから、抱きしめる腕に力を込めた。