余所者-よそもの-【 3 】
72話:届かない声
「……待ってっ」
その私の声が届くより早く。
千景が一足先に、シドの間合いへ切り込んだ。
あっという間に面前に立った千景の拳が、シドの横っ面にガツン、とめり込む。
シドは痛みに耐えるように片目を細めた。
崩れた重心を戻す間もなく、続けざまに千景の左拳が顎をまともに突き上げる。
「おいおい、つまんないだろ。シトウの紫藤……ッ!」
千景の挑発の言葉と共に、シドの顔が上を向いた。
真上に打ち上がる身体。
千景は追い打ちをかけるように、脚で後頭部を蹴り払った。
「……っ」
後ろに倒れかけたシドは、――ダン!と片足で地面を踏みしめて、ギリギリで踏ん張った。
よじれた身体が、勢いよく戻る。
その反動のまま、千景の顔面に重たい一撃を叩き込んだ。
――バキィッ!!