余所者-よそもの-【 3 】



白目を剥きかけた千景。

すぐに目を見開き、歯を食いしばって、タタンッ、と軽く地面に着地する。


同時に、拳を構えようとした。


「……ドブネズミが。ウロチョロすんな」


だけど千景の体勢が整うよりも早く、飛びかかっていたシド。

半ば無防備な両肩を掴むと、鳩尾に膝をめり込ませた。


「かハっ……!」


力をなくしたように崩れる千景の身体。


シドはそのまま千景の背後に回り込み、右腕を掴み上げた。

漆黒に淀んだ目を、静かに細めると、


「……うぜぇ」


迷いなく、深く、ひねり絞る。


――ゴキッ……!


乾いた太い枝を力任せにへし折ったような音が、空気を揺らす。


千景の右肩が。

あり得ない方向へねじれた。



「いや……」



……壊れた。

千景の腕が、目の前で壊された。




「やめ……」



は……は……と、短い呼吸が口から漏れた。

息が、苦しい。




< 67 / 349 >

この作品をシェア

pagetop