余所者-よそもの-【 3 】
白目を剥きかけた千景。
すぐに目を見開き、歯を食いしばって、タタンッ、と軽く地面に着地する。
同時に、拳を構えようとした。
「……ドブネズミが。ウロチョロすんな」
だけど千景の体勢が整うよりも早く、飛びかかっていたシド。
半ば無防備な両肩を掴むと、鳩尾に膝をめり込ませた。
「かハっ……!」
力をなくしたように崩れる千景の身体。
シドはそのまま千景の背後に回り込み、右腕を掴み上げた。
漆黒に淀んだ目を、静かに細めると、
「……うぜぇ」
迷いなく、深く、ひねり絞る。
――ゴキッ……!
乾いた太い枝を力任せにへし折ったような音が、空気を揺らす。
千景の右肩が。
あり得ない方向へねじれた。
「いや……」
……壊れた。
千景の腕が、目の前で壊された。
「やめ……」
は……は……と、短い呼吸が口から漏れた。
息が、苦しい。