余所者-よそもの-【 3 】
「……カナコさん?」
カウンターに立っていたサンコンが、私に気が付くなり声を漏らした。
疑うように名を呼んだサンコンの目が、徐々に見開かれていく。
――ああ。
ついてない。
どうして、いるの――……
「――……かぁこ……?」
ガタ、とカウンターチェアの足が鳴く。
同時に、背中を向けてチェアに掛けていたユキが、こちらを振り返った。
「………」
「………」
時間が止まったみたいだった。
瞬きも忘れて、ユキだけを見ていた。
――ガタンと、チェアを倒しながら立ち上がったユキが、こちらへ駆け寄って。
「かぁこ……っ!!」
「……っ」
私を抱きしめた。
それはひどく不器用で、落ち着きのない抱擁だった。
首筋から私の頭を撫で上げ、髪をくちゃくちゃにしながら、額を押し当てる。
腰から背中を撫で上げ、まるで一つの身体になりたいみたいに、私を彼の中に押し込めた。