真夏の一夜は恋の始まり(新装版)
 「別に聞かれなかったし。」

 そうだね。確かに。と言って私は笑った。返し方が大一らしくて笑えてしまう。

 「大一の実家九州だよね⁇九州ってどんな所⁇」

 私はあまり考えずに普通に聞いてみた。

 「都会みたいに何でもあるわけじゃない田舎かな。うちは海が近い港町だから、昔から海がある光景は普通だったかも。」

 「そうなんだ。海の近くとかいいね。うちらが最初に出会ったのも海だったし。今度行ってみたいな。大一の生まれた所。」

 私はあまり言葉の意味を深く考えずに言葉を発していた。大一の顔が見る見るうちに赤くなっていく。口元を押さえて照れているようだ。

 「なら、今度行く⁇」

 今度行く⁇とははつまり実家にという事だろうか⁇頭の中を整理するのに時間がかかってしまった。

 「それは旅行⁇みたいな⁇」

 私はやっぱりあまり深く考えていない。大一の真意が分かっていなかった…。

 「旅行も兼ねてうちの実家に寄っていくみたいな⁇」
 
 それはつまり、大一の実家に一緒に行ってお邪魔すると言う事だろうか⁇

 「嫌ならいいけど…。」

 私が複雑な顔をしているからか大一が遠慮がちに言葉を発した。
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