追放先で再会した初恋の男は、罪深い私を愛し続ける 〜断罪令嬢エリザベートの初恋回帰〜
視界に移る姿が信じられず、双眸を大きく開く。
全身が呼吸をするのを忘れたように固まったまま喉奥に熱いものを感じた。

目の前に居たのは隻腕の男。
エリザベートは彼を知っている。

彼は……――きっと、ベリルだ。

幼少期に出会った平民で、心を許すことが出来た淡い初恋の相手。
忘れるわけがない。
何年経とうが気付かないわけがないのだ。

しかし……エリザベートは動揺する感情に瞳を揺らす。

こんなことは有り得ない。

「あなた……」

不安と疑念に押しつぶされそうな声は続かず、俯き言葉に詰まる。
そして、ようやく出てきたのは最後にベリルの顔を見た日と同じ言葉だった。

「ごめんなさい……」

「……――なんのことだ?」

俯いていた顔を上げエリザベートはベリルと思わしき男を見上げた。
耳に熱が灯るのを感じる。

忘れられたのだろうか。
それとも人違い?
いや、忘れられたのだ。
忘れられて当然だ。

内心で忙しなく独りごちる。

男は「来い」とだけ言って背を向けてしまった。
その背が実際よりも随分と遠く見え、エリザベートは苦い笑みを密かに零した。

しかし後ろをついて歩きだそうとすると足場の悪さによろけてしまう。

「大丈夫かよ」

振り返った男はエリザベートの腕を引く。
視線がかち合い、ますます確信めいて胸が締め付けられる。

エリザベートは気まずげに目を逸らした。
ベリルは何年も前に、ある事件によって会えなくなってしまった相手だ。

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