彼らの夏が終わる
 朝練の終了を告げるチャイムが鳴った。


「わりい、朝練終わっちまったな」


 焦った顔の一輝に大雅(たいが)が軽く首を振った。


「しゃあねえよ。須藤、部室の場所教えるわ。ロッカーも用意しねえとな」

「お願いします。メイサ、俺行ってくるね」

「はいはい」


 メイサは男子たちの背中を見送り、ゆっくりと体育館を見回した。


「……んんん? ねえ、まなちゃん」

「なあに?」


 愛香(まなか)が転がったボールを拾っているのを見て、メイサは顔をしかめた。


「何してんの?」

「片付け」

「いや、そんなのあいつらにやらせなよ」

「……片付け、マネージャーの仕事じゃない?」

「程度にもよるけどさ。別に女子マネって雑用係じゃないからね?」


 愛香は目を丸くした。

 メイサはスコアボードを押して倉庫へ運び込み、それからボール拾いも手伝った。
 二人は体育館を出た。廊下を並んで歩きながら、メイサは愛香へ冷ややかな視線を向けた。


「黒杉が偉そうにする理由の一つを見つけた」

「な、なに?」

「さっきも言ったけど女マネは雑用係じゃないよ」

「……うん。えっと、そうだよね。その、バスケ部って元々少人数で、女マネって何代かに一人とかしかいなくて」

「ノウハウが蓄積されてないんだ? じゃあ、メイサちゃんがマネージャーとは何たるかを教えてあげるね」

「し、師匠~」


 にこりと微笑んだメイサに、愛香は思わず手を合わせた。

 そのまま二人は職員室へ向かう。灰田は事情を聞くと、「そう。最後の夏が始められるね」と穏やかに笑った。

***

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