彼らの夏が終わる
「ただいまー」


 藤也は翔と共に学校の周りを走って戻ってきた。途中で園芸部員に応援され、草野(くさの)から人数分の塩飴をもらってきて、メイサに差し出す。


「メイサー、部長が飴くれた」

「よかったね。でも部活中は三枝先輩って呼んで」

「はい、三枝先輩」


 藤也は満面の笑みでメイサを覗き込んだ。


「園芸部の部長が塩飴くれたんですけど舐めていいですか」

「いいけど、水分補給してからね」


 メイサは塩飴を受け取り、代わりにスポーツドリンクを渡すと、ついでに藤也の頭をぽんと撫でた。藤也は機嫌よさそうに海斗と翔の元へ戻り、二人から蹴とばされた。

 メイサは愛香と手分けしてスポーツドリンクを配り、飲み終えた部員から順に塩飴を配った。


「はい、次。基本的に朝練はストレッチと筋トレメインでいくよ」


 愛香も頷いて続けた。


「朝のうちはまだ身体が固いから、ゆっくり動かしていこうね。代わりに夕方は、軽くストレッチとランニングをしたらミニゲームを繰り返そう。メイちゃんも言ってたけど、うちの部はとにかく場慣れしてないから。最後の三十分くらいはミニゲームの録画や他校の試合を見ながら、クールダウンもしつつ、自分たちに何ができて何ができないか確認しよう」

「ふうん」


 一輝は頷いた。


「なんつーか……そこまでしごかれる感じでもない?」

「どうかな」


 メイサはにこりと笑った。


「今日は初日だからね。何日か続けてやれば、くると思うよ」

「くる?」


 大雅が首をかしげたが、メイサも愛香も微笑むだけで答えなかった。

 すでに経験済みの藤也だけ、後ろの方で渋い顔をしていた。

***

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