彼らの夏が終わる
 昼休み。弁当を食べ終えた藤也は、二年生の男子十人ほどと一緒に体育館へ来ていた。


「藤也、パス!」

「ばっか、狙われてるって」

「もらい!」


 制服のまま、体育館を駆け回りながら、どたばたとバスケをしていた。

 藤也はボールを受け取った瞬間、ふと昨日メイサに言われたことを思い出した。

 腰を落とすときは、つま先を外へ広げすぎないように。腹に力を入れて。

 腕だけじゃなくて……あと、なんだっけ?

 ボールが思ったよりも高く上がる。

 ゴールの輪にがちゃんと当たって弾かれた。

 同じチームの男子が、弾かれたボールを軽々とつかみ、そのままゴールへ叩き込んだ。


「悪い」


 藤也が謝ると、ゴールした男子、青川(あおかわ)海斗(かいと)が立ち止まった。


「ぜんぜん。つーか藤也、バスケうまいよな」

「普通だろ。しかも今外したとこだし」

「でも今のって、思ったより飛んじゃったんじゃねえの?」

「……なんでそう思ったんだよ」

「投げた後、びっくりしてたから。あとなんかゆっくり動いてた」


 藤也は口を閉じた。

 海斗は藤也の隣のクラスだが、あまり親しくはない。休み時間にサッカーやバスケをするときに顔を合わせる、友達の友達くらいの間柄だった。


「よく見てんね」

「そっちもだろ。キャットウォークって、いちゃつく場所じゃねえけどさ。いや、いちゃついてるにしちゃ、あの女の先輩の顔、怖すぎたけど」

「……海斗、バスケ部だったんだ」

「そうだよ。あのさ、藤也。助けてくんない?」


 藤也が聞き返す前に、昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った。


「バスケ部、やばいんだよね。あんなだけど、それでも俺は辞めたくないんだ」


 海斗は今にも泣き出しそうな顔をしていて、藤也は何も言えなかった。

***

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