悪魔は夜に笑う
タバコの味を覚えたきっかけの男。
そういえば聞こえはいいけど、実際は私の片思い。
関係性が壊れるのが怖くて告白もできず、怖気付いていたら彼は海外へ行ってしまった。

未練はないけど、会いたいかと問われたら迷わず会いたい。
私は思い切って3年ぶりに彼にメッセージを送った。


「深沢、久しぶり」


日曜日の午前11時、待ち合わせ場所は喫煙席がある職場近くのカフェ。
お互いの家の中間地点がちょうど職場付近だったからそうなった。

店先で待っていると颯爽と背の高い男が現れた。
オールバックなのに顔つきが柔らかい雰囲気だから、厳つくならないのが不思議。
そして相変わらずモデルみたいに脚長いな。
元上司、牛見(うしみ)康介(こうすけ)はあの時と変わらない笑顔で私と再会した

片手をポケットに入れ、もう片方で笑顔で手を振る。
その薬指にはきらんと光る結婚指輪が。
うん、現地の女性と結婚したとは聞いていたからダメージはない。
彼、もう35だし。その歳で身を固めてなかったら逆に警戒してたところだわ。
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