ビハインド・ザ・バック ~彼に狙われたら逃げられない~
「いいの? 誤解されたみたいだけど」
「あんな雑魚、どうでもいいよ」
 鷹羽くんは心底どうでもよさそうに答える。

「変なの連れてきてごめんね。言い訳だけど、あんなやつだと思ってなかったの」
 門田さんが申し訳なさそうに謝る。

 それは私も同じだ。厚かましいだけで常識はあると思ってた。

「あいつが変な噂を流したら、私が訂正しておくから。ほんとごめん、私も帰るね。あいつの分は私が払っておいて徴収するから」
 そう言って、彼女は受付に行く。

 私はその背を見送り、くるりと鷹羽くんに向き直った。
「今日、すごかった。いつもは手加減してくれてたんだね」

「……ごめん」
「ううん。ありがと。おかげでいつも楽しかったよ」

「ほかにも俺、あなたを楽しませる努力してたんだけど、気づいた?」
 流し目を送られ、私はどきっとする。

「背面打ち。好きでしょ。いつも目をきらきらさせてる」
 彼はキューを背に回し、狙いをつけるために半ば目を伏せて笑みをこぼす。

 さらされた胴体が無防備に見えて、どきっとする。

 異性の弱点は魅力的に見えるという説があるけど、本当にそうかもしれない。彼のこの姿勢はいつ心臓を狙われてもおかしくない姿勢なのだし、すぐには反撃できない態勢だ。それを自分の目の前で……というのは、無性にかきたてられるなにかがある。

 弱点をさらしているのに余裕の笑顔というのが彼のオスの余裕を強調していて、それもまたいい。

 彼は手球を打つと、すぐに視線を私に戻す。鋭くて、まるで獲物を狙う猛禽類の瞳。

「俺、狙った的は必ず落とすから」

 カチン。
 音がした後、的球が落ちる重い音が私の体に響き渡る。

 次の、狙いは――。






< 17 / 17 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
柚花は宝石店『パリュール』の副店長をしている。 恋人を取られ、店長が入院して公私ともに大変。 そんなとき憧れだった人が「店長代理」としてやってきて……。 9月30日完結。 お読みいただき、ありがとうございます! 24/10/7 中短編部門で1位を獲得しました! 初の1位に感無量です! みなさま本当にありがとうございます!!! 25/1/30 めちゃコミック×LScomic×魔法のiらんど漫画原作コンテスト 「エリート上司との偽装恋人」部門にて 佳作を受賞いたしました! ありがとうございます!
表紙を見る 表紙を閉じる
星森耀理(ほしもり ひかり) 平凡な書店員。 彼氏と元親友に裏切られて傷心中。  ×  月嶺史弥(つきみね ふみや) 大人気作家。 三年前から耀理を愛し、彼女のために作品を書き続けている。 彼氏にふられた耀理(ひかり)は傷心のままサイン会に行く。 推し作家にプロポーズされた耀理は作品の再現シーンだと気付いて心躍らせる。 ヒロインの言葉で承諾のセリフを返したところ、作家は「婚姻が成立だ」と叫んで仮面をはがす。 現れたのは、三年前に耀理に暴言を吐いた男だった。 激重の彼の愛を拒否する耀理。 元彼や元親友の襲撃から守ってくれた彼に次第に引かれていくのだが……。
表紙を見る 表紙を閉じる
双子の姉と母に虐げられている主人公。 ある日、姉の身代わりでお見合いに行かされ、姉として気に入られてこいと言われる。 姉はホストとデートに行く。 お見合いで会った深空迅(みそら・じん)に 「俺が助ける」 と言われる。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop