ビハインド・ザ・バック ~彼に狙われたら逃げられない~
「いいの? 誤解されたみたいだけど」
「あんな雑魚、どうでもいいよ」
鷹羽くんは心底どうでもよさそうに答える。
「変なの連れてきてごめんね。言い訳だけど、あんなやつだと思ってなかったの」
門田さんが申し訳なさそうに謝る。
それは私も同じだ。厚かましいだけで常識はあると思ってた。
「あいつが変な噂を流したら、私が訂正しておくから。ほんとごめん、私も帰るね。あいつの分は私が払っておいて徴収するから」
そう言って、彼女は受付に行く。
私はその背を見送り、くるりと鷹羽くんに向き直った。
「今日、すごかった。いつもは手加減してくれてたんだね」
「……ごめん」
「ううん。ありがと。おかげでいつも楽しかったよ」
「ほかにも俺、あなたを楽しませる努力してたんだけど、気づいた?」
流し目を送られ、私はどきっとする。
「背面打ち。好きでしょ。いつも目をきらきらさせてる」
彼はキューを背に回し、狙いをつけるために半ば目を伏せて笑みをこぼす。
さらされた胴体が無防備に見えて、どきっとする。
異性の弱点は魅力的に見えるという説があるけど、本当にそうかもしれない。彼のこの姿勢はいつ心臓を狙われてもおかしくない姿勢なのだし、すぐには反撃できない態勢だ。それを自分の目の前で……というのは、無性にかきたてられるなにかがある。
弱点をさらしているのに余裕の笑顔というのが彼のオスの余裕を強調していて、それもまたいい。
彼は手球を打つと、すぐに視線を私に戻す。鋭くて、まるで獲物を狙う猛禽類の瞳。
「俺、狙った的は必ず落とすから」
カチン。
音がした後、的球が落ちる重い音が私の体に響き渡る。
次の、狙いは――。
終
「あんな雑魚、どうでもいいよ」
鷹羽くんは心底どうでもよさそうに答える。
「変なの連れてきてごめんね。言い訳だけど、あんなやつだと思ってなかったの」
門田さんが申し訳なさそうに謝る。
それは私も同じだ。厚かましいだけで常識はあると思ってた。
「あいつが変な噂を流したら、私が訂正しておくから。ほんとごめん、私も帰るね。あいつの分は私が払っておいて徴収するから」
そう言って、彼女は受付に行く。
私はその背を見送り、くるりと鷹羽くんに向き直った。
「今日、すごかった。いつもは手加減してくれてたんだね」
「……ごめん」
「ううん。ありがと。おかげでいつも楽しかったよ」
「ほかにも俺、あなたを楽しませる努力してたんだけど、気づいた?」
流し目を送られ、私はどきっとする。
「背面打ち。好きでしょ。いつも目をきらきらさせてる」
彼はキューを背に回し、狙いをつけるために半ば目を伏せて笑みをこぼす。
さらされた胴体が無防備に見えて、どきっとする。
異性の弱点は魅力的に見えるという説があるけど、本当にそうかもしれない。彼のこの姿勢はいつ心臓を狙われてもおかしくない姿勢なのだし、すぐには反撃できない態勢だ。それを自分の目の前で……というのは、無性にかきたてられるなにかがある。
弱点をさらしているのに余裕の笑顔というのが彼のオスの余裕を強調していて、それもまたいい。
彼は手球を打つと、すぐに視線を私に戻す。鋭くて、まるで獲物を狙う猛禽類の瞳。
「俺、狙った的は必ず落とすから」
カチン。
音がした後、的球が落ちる重い音が私の体に響き渡る。
次の、狙いは――。
終


