サヨナラを言う準備は出来ていた。
彼といると、落ち着かない気持ちにさせられる。
だから避けようとしてるのに、私はクラスで浮いていて、逃げる場所がない。
そしてそういう私に気を遣って、笹森くんが話しかけてくる。人気者の彼に構われると、更に私は孤立するという悪循環。

たぶん笹森くんもそういう状況に気づいているはずなのに、それでも彼は私に声をかける。
時々、じっと熱のこもったような目で見つめてくる。何かを伝えようとするように。
その度、私はこうして逃げ出してしまう。


「矢部」


背中に声がかかり、ぎくりとする。
振り返ると、笹森くんが廊下を追いかけてきていた。


「な、何?」

「明日、空いてる?」


立ち止まった笹森くんに突然そんなことを聞かれ、すぐには答えられなかった。

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