サヨナラを言う準備は出来ていた。

「……気になる?」

「え? ま、まぁ……皆気にしてるし」


なぜか、探るような視線に感じてどぎまぎしてしまう。
私の動揺に気づいているのかいないのか、笹森くんは平然と「ないよ」と言った。


「付き合わない。俺、好きな奴いるし」

「そ……そうなんだ。それじゃ、ほら、噂は迷惑だよね。あっ。岡本さんに言ってみたら? 友だち多いから、すぐデマだよって広めてもらえるんじゃない?」

「別にそこまですることもねぇよ」

「そ、そう? そっか。……ああ、忘れてた! 私、職員室に用事があるんだった!」


お弁当を鞄にしまい、席を立つ。
ここにいてはいけないような気がして、私は「それじゃ」と逃げるように教室を出た。

心臓がドクドクと嫌な音を立てている。
何だか最近、笹森くんが変だ。いや、私が変なのかな?
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