サヨナラを言う準備は出来ていた。
「忘れろとは言ってねぇよ」
「当たり前でしょ! 幼なじみなんだよ? 他の人とは違うの! 私があいつを忘れられるわけない!」
「俺にとっても親友だった」
「ケンカしたままだったのに!?」
笹森くんは驚いた顔で口を閉じた。
私は興奮を抑えられなくて、いま彼が何を考えているのか、感じているのかなんて、気にすることもできない。
「……結星がそう言ったのか? ケンカの理由も聞いた?」
「理由は聞いてないけど、ふたりがケンカするなら余程のことだったんでしょ」
笹森くんとケンカしたまま、結星はいなくなってしまった。
夏祭りの夜の、帰り道での出来事だった。
ケンカしたまま結星と別れてしまった笹森くんは、きっと誰より後悔している。
私と同じくらい傷ついている。そう思っていた。それなのに――。