サヨナラを言う準備は出来ていた。
「ちゃんとしねぇと奪うって言ったら、殴り合いのケンカになった」
「冗談――」
「冗談じゃない。冗談でこんなこと言うかよ」
わかってる。笹森くんはこんな冗談は言わないことくらい。
でも、冗談ということにしたかったんだ、私が。
だって、笹森くんは、結星の親友だ。間違いなく、一番仲の良い友だちだった。
そんな人と私が、どうこうなるなんて考えられない。
「き、聞かなかったことにする。悪いけど、お祭りには行かないから」
「矢部!」
背を向け逃げようとしたのに、腕を掴まれ止められてしまった。
大きな手の力は強すぎて、振りほどけない。
「やっ! は、離して!」
「去年の夏祭りの帰りに、事故現場にみんなで行った」