サヨナラを言う準備は出来ていた。
「ねぇ。どうして、この日しか姿を見せてくれないの?」
約束したからだよ。
祭りの夜は、花火を一緒に見るって、お前と約束したろ。
「どうして、花火が上が終わったら、消えちゃうの?」
そういう約束だからだよ。
花火が上がる十分間だけ、俺はお前と一緒にいられるんだ。
「どうして、何も喋ってくれないの? 声を聞かせてくれないの?」
続けてふたつ、花火が高く打ち上がる。
涙を浮かべた那月の瞳が、白く輝く。
「どうして、いつも傍にいてくれないの?」
それは――。
「どうして……」