サヨナラを言う準備は出来ていた。
「結星」
赤、黄色、緑と、カラフルな花火が夜空に弾けた。
何だよその顔。まるで小さい頃の、叱られたあとの顔みたいだ。
隔板を飛び越えて向こうに行きたくなるような、たまらない気持ちになった。
「どうして……」
残り火がパラパラと音を立てて落ちていく中、那月がか細い声で呟く。
「どうして、結星はここにいるの?」
三年目にして初めて投げかけられた問いに、俺は思い切り動揺してしまった。
いつか言われるとわかっていたことなのに。むしろ、これまで言われなかったことが不思議なくらいだったのに、だ。
「二年前は、夢だと思った。花火の夜、ベランダに結星が来てくれたことは、夢だったんじゃないかって。でも、次の年も結星は来てくれた」
那月がゆっくりと立ち上がる。