サヨナラを言う準備は出来ていた。

「本当につらくて、つらくてつらくて、抱きしめてほしいって思っても、いないんだもん」


それなのに、ごめんな。
お前から俺を奪ってごめん。

パラパラと火花が落ちるのと一緒に、那月の視線も落ちていく。


「結星がいいのに……結星じゃないと、ダメなのに……」


那月が、沈んでいく。
どんどん深く暗いところへ沈んでいく。
このまま浮上できなくなるんじゃ、と心配になっても、俺はやっぱり何も言ってやることができない。
この隔板を蹴り壊して、向こうへ行くことも、何も。


「ねぇ……どうして?」


うなだれていた那月が、ゆっくりと顔を上げる。
大きなしだれ柳が夜空に輝いた。

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