サヨナラを言う準備は出来ていた。
違うよ、那月。それは違う。


「夏祭り、サッカー部で行くって聞いて私が怒ったから。だから花火には絶対間に合わなきゃって、走ったんじゃないの?」


白く小さな花火が、連続した破裂音と共に次々に上がった。
夜とは思えないほどの明るさが、ヘッドライトの白と重なる。
フラッシュバックする事故の瞬間。あの時俺は、お前のことだけを考えてた。


「急いでて、私の誕生日だから、ダッシュしてて、それで車に……」


確かに俺は急いでたよ。
お前の誕生日だから、絶対遅刻できないって。試合のときよりも必死に走った。
けど、俺はお前の為に走ったんじゃない。俺は俺の為に走ったんだ。


「私のせいで、結星、死んじゃった……」


ひと際大きな、それは大輪のような鮮やかな花が夜空に咲く。
赤、緑、黄色、青と、星を霞ませるほど明るく。

違うよ、那月。違うんだ。
お前のせいじゃないんだ。俺は俺のせいで死んだんだ。

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