自惚れ、アディクト

ないものねだり

『俺の人生、勝ち組確定じゃね?』
確信したのは、小四の春だった。

𓈊ˊ˗

「ちょっと〜〜抜け駆けしないでよ!!」

「あたしが愛央くんに持ってくの」

「わたしも行きたい!ヒナちゃんばっかりズルいよ」


神崎愛央(かんざきあお)、10歳。
今日もアホほどモテる。


「…………(やべぇ…俺のことで女子たちがケンカしてる)」

「だってあたし、愛央くんと席が隣だもん」

「ええ〜〜っ(ヒナちゃん、クラスで一番カワイイからって…っ。ただの“ぶりっ子”のくせに〜〜)」

「じゃあさ、こうしよ?みんなで行こうよ」


言い出しっぺのヒナを先頭に、クラスの女子たちが俺の席にやって来た。「愛央くん」と、揃う声の語尾にはハートマークが付属されている。

澄ました顔で頬杖をつく俺へ、一冊のノートが手渡された。


「はいっ、先生から。愛央くんのノート」
「愛央くん、字もすっごく綺麗なんだね。…アッ、中身見たわけじゃないんだけどね———…!?」

それを受け取り、フッと笑った。

「おー、さんきゅ」

瞬間、教室が騒めいた。

「「「キャ〜〜〜〜ッ」」」
「やばい…!カッコいい……」
「愛央くん、ちょーイケメンすぎるよー。はあ」
「横顔もキレー……」


やっぱ、俺って“ちょーかっこいい”んだ。
罪深すぎるだろ。
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