自惚れ、アディクト
「美園結莉と申します。よろしくお願いします」
お辞儀をする彼女に先輩たちがつられて立ち上がり、各々が自己紹介と名刺交換をする。
貰った名刺を机に置いた後輩は、美園さんに見惚れて「かわいい…」と、心の声がダダ漏れだ。
仕事中だぞ。合コンじゃねぇっての。
「(こいつ…。次から連れて行くのやめるか)」
呆れて眉根を顰める俺に、ハンサムくんが言った。
「美園、こちらが神崎さん」
無垢な双眸が上目遣いに凝視する。
「…………(やっぱり…このひとが神崎さん…。髪、長いんだなぁ)」
「…………」
ん?と、小首を傾げた。
綺麗にカールされた睫毛が、照明の光を集めてはためく。
「いつもお世話になります。よろしくお願いします」
「お世話になります。神崎です、よろしくお願いします」
⸝⸝꙳
美園さんが用意した資料は、要点がわかりやすくまとめられており、伝えたいことも簡潔で順調に進む。
デザインの仕様とイメージ、おおまかなスケジュールが決まった。先輩は一安心したのか、話してる最中、口角がゆるゆるだ。
俺は横目に「だから、仕事中」と。愚痴っぽく胸中で零す。
どこか浮き足立っている二人とは対照に、美園さんは俺の案に耳を傾けて頷いたり、ハンサムくんに意見を聞いたり、メモを取ったりと…真剣な眼差しで見てくるものだから、面食らってしまった。
「初稿が出来上がったら、改めて連絡します」
一時間に及ぶ打ち合わせが終わった。
薄型のノートパソコンを片付けているところ、美園さんと花菱の会話が耳に入る。
「先生にスケジュール伝えておいて。それから、帯のチェックも…」
花菱から指示を受けているようで、厚みのある手帳に走り書きをする指先が留まった。
そして、この場に似つかない甘い声が舞う。
「なんとか間に合いそうで良かったです」
「美園が余裕持って準備を進めていたからだよ。上手く出来てる。やるじゃん」
ハンサムくんは褒めるのも上手い。
「ありがとうございます。ほんまに、先輩がおってくれて助かりました。心強かったです」
“ほんまに、先輩がおってくれて”
柔らかな方言につられて視線を持ち上げる。
緊張が解けたのか、目の前の彼女がふにゃりと笑った。
お辞儀をする彼女に先輩たちがつられて立ち上がり、各々が自己紹介と名刺交換をする。
貰った名刺を机に置いた後輩は、美園さんに見惚れて「かわいい…」と、心の声がダダ漏れだ。
仕事中だぞ。合コンじゃねぇっての。
「(こいつ…。次から連れて行くのやめるか)」
呆れて眉根を顰める俺に、ハンサムくんが言った。
「美園、こちらが神崎さん」
無垢な双眸が上目遣いに凝視する。
「…………(やっぱり…このひとが神崎さん…。髪、長いんだなぁ)」
「…………」
ん?と、小首を傾げた。
綺麗にカールされた睫毛が、照明の光を集めてはためく。
「いつもお世話になります。よろしくお願いします」
「お世話になります。神崎です、よろしくお願いします」
⸝⸝꙳
美園さんが用意した資料は、要点がわかりやすくまとめられており、伝えたいことも簡潔で順調に進む。
デザインの仕様とイメージ、おおまかなスケジュールが決まった。先輩は一安心したのか、話してる最中、口角がゆるゆるだ。
俺は横目に「だから、仕事中」と。愚痴っぽく胸中で零す。
どこか浮き足立っている二人とは対照に、美園さんは俺の案に耳を傾けて頷いたり、ハンサムくんに意見を聞いたり、メモを取ったりと…真剣な眼差しで見てくるものだから、面食らってしまった。
「初稿が出来上がったら、改めて連絡します」
一時間に及ぶ打ち合わせが終わった。
薄型のノートパソコンを片付けているところ、美園さんと花菱の会話が耳に入る。
「先生にスケジュール伝えておいて。それから、帯のチェックも…」
花菱から指示を受けているようで、厚みのある手帳に走り書きをする指先が留まった。
そして、この場に似つかない甘い声が舞う。
「なんとか間に合いそうで良かったです」
「美園が余裕持って準備を進めていたからだよ。上手く出来てる。やるじゃん」
ハンサムくんは褒めるのも上手い。
「ありがとうございます。ほんまに、先輩がおってくれて助かりました。心強かったです」
“ほんまに、先輩がおってくれて”
柔らかな方言につられて視線を持ち上げる。
緊張が解けたのか、目の前の彼女がふにゃりと笑った。


