自惚れ、アディクト
結莉がグラスに残ったワインを半分、飲み干す。くつくつ、とささやかな笑いが落ちる。
「どっちがいい?」
「神崎さんにお任せします」
言い切る結莉の双眸は、とろりと溶けかかっていて。会話が止まれば、このまま目を閉じ、眠りにつきそうな勢いだ。
「じゃあ、結莉で」
そう伝えると、小さな唇を尖らせ、通りがかった店員にカクテルを追加注文する。
背伸びしてみせて、やっぱ可愛いわ。
悪戯っぽく口元が緩む。心が意地悪に湧き立った。
結莉が不満そうに眉根を寄せる。
「ワインも……好きです。けど、甘いのも飲みたい気分だったんです」と、必死に弁解するので「はーい、わかったよ」と、軽く返した。結莉は俺を疑っているようで「ほんとにわかってるのかな」と、呟く。
僅かな沈黙に包まれた。
店内はいつの間にか客足が増えたらしく、騒がしい。
運ばれたばかりのカクテルを口にする結莉を、横目で眺めた。
「今日の“彼氏いません”って」
「…………」
「俺のこと、好きなん?」
不意打ちで近寄り、耳元で囁いた。
「……ぁ(香水と煙草の匂い)」
「誰も見てねぇよ」
——…ちゅ、と触れるだけのキスをした。
結莉が真っ直ぐに見つめる。
「私、一途なひとが好きなんです」
「ん。知ってる」
「だから、神崎さんみたいにいろんな女性と遊ぶ男性は、だめ……」
膝の上で握りしめた彼女の拳に、自身の掌を重ねて。そっと、固く結んだ指先を解く。
「どっちがいい?」
「神崎さんにお任せします」
言い切る結莉の双眸は、とろりと溶けかかっていて。会話が止まれば、このまま目を閉じ、眠りにつきそうな勢いだ。
「じゃあ、結莉で」
そう伝えると、小さな唇を尖らせ、通りがかった店員にカクテルを追加注文する。
背伸びしてみせて、やっぱ可愛いわ。
悪戯っぽく口元が緩む。心が意地悪に湧き立った。
結莉が不満そうに眉根を寄せる。
「ワインも……好きです。けど、甘いのも飲みたい気分だったんです」と、必死に弁解するので「はーい、わかったよ」と、軽く返した。結莉は俺を疑っているようで「ほんとにわかってるのかな」と、呟く。
僅かな沈黙に包まれた。
店内はいつの間にか客足が増えたらしく、騒がしい。
運ばれたばかりのカクテルを口にする結莉を、横目で眺めた。
「今日の“彼氏いません”って」
「…………」
「俺のこと、好きなん?」
不意打ちで近寄り、耳元で囁いた。
「……ぁ(香水と煙草の匂い)」
「誰も見てねぇよ」
——…ちゅ、と触れるだけのキスをした。
結莉が真っ直ぐに見つめる。
「私、一途なひとが好きなんです」
「ん。知ってる」
「だから、神崎さんみたいにいろんな女性と遊ぶ男性は、だめ……」
膝の上で握りしめた彼女の拳に、自身の掌を重ねて。そっと、固く結んだ指先を解く。