自惚れ、アディクト
「はじめてなんです。一緒に仕事をして、こんなにやり甲斐を感じるの。私……要領悪いし、花菱先輩みたいに器用じゃないから、取引先の人から適当に扱われると言うか…」
「…………」
彼女にはじめて触れた指が、離れないでいる。
「他の班の先輩にも“一編集が口出しするのやめて”って言われたこともあって、この仕事向いてないんじゃないかなって、自信なくしてたんです。だから、ほんとは神崎さんと仕事をするのも、怖かったんです。…でも、違いました」
優しげな眉尻が垂れた。
「私のこと、対等に見てくれて、ありがとうございます」
会った瞬間、肩を落として泣きそうにしていたのに、今は安心しきった顔で俺に笑いかける。
「…………(あ゛〜……完全に堕ちた)」
余裕なんてない。
ただ、彼女がいとおしく、好きだ。
涙袋に触れたままの親指を下ろして、頬に添えた。
潤んだ瞳が俺を見上げる。彼女の些細な仕草に、鼓動が加速していくのを覚えた。「なあ」と、平然を装って頬を撫でる。
「二人きりのときは“結莉”って呼んでもいい?」
「?」
「(酔ってるな)」
「…………はい」
結莉は気恥ずかしそうに頷いた。
それだけで、なぜだか俺は満足する。
「結莉」
「なんでしょう」
「呼んでみただけ」
頬に添えた掌を、するりと離した。
「ゆりちゃん」
「〜〜……っ(ぜったい、ながされちゃだめ)」
「…………」
彼女にはじめて触れた指が、離れないでいる。
「他の班の先輩にも“一編集が口出しするのやめて”って言われたこともあって、この仕事向いてないんじゃないかなって、自信なくしてたんです。だから、ほんとは神崎さんと仕事をするのも、怖かったんです。…でも、違いました」
優しげな眉尻が垂れた。
「私のこと、対等に見てくれて、ありがとうございます」
会った瞬間、肩を落として泣きそうにしていたのに、今は安心しきった顔で俺に笑いかける。
「…………(あ゛〜……完全に堕ちた)」
余裕なんてない。
ただ、彼女がいとおしく、好きだ。
涙袋に触れたままの親指を下ろして、頬に添えた。
潤んだ瞳が俺を見上げる。彼女の些細な仕草に、鼓動が加速していくのを覚えた。「なあ」と、平然を装って頬を撫でる。
「二人きりのときは“結莉”って呼んでもいい?」
「?」
「(酔ってるな)」
「…………はい」
結莉は気恥ずかしそうに頷いた。
それだけで、なぜだか俺は満足する。
「結莉」
「なんでしょう」
「呼んでみただけ」
頬に添えた掌を、するりと離した。
「ゆりちゃん」
「〜〜……っ(ぜったい、ながされちゃだめ)」