四つ葉の栞
君の言葉を知りたくて
夏が終わり、秋の風が吹き始めた。
美紗樹は病院の帰りに、一冊の手話の入門書を買った。
家へ帰ると、慣れない手の動きを何度も繰り返す。
「おはよう。」
「ありがとう。」
「またね。」
鏡を見ながら、一つずつ覚えていく。
最初は思うように指が動かなかった。
それでも、美紗樹は諦めなかった。
聞こえない日が来ても、大切な人と話せるように。
その願いだけを胸に、毎日少しずつ練習を続けた。
数日後、本屋を訪れる。
「こんにちは。」
蒼はいつものように笑顔で迎えた。
美紗樹は少し照れながら、ぎこちなく右手を動かした。
『こんにちは。』
たどたどしい手話だった。
蒼は驚いた表情を浮かべる。
「手話……?」
美紗樹は小さくうなずいた。
「少しずつ、勉強してるの。」
「まだ全然できないけど。」
その日の帰り道。
蒼は一軒の書店へ立ち寄った。
手に取ったのは、美紗樹と同じ手話の入門書だった。
「僕も、覚えよう。」
その言葉を聞く人はいなかった。
翌週。
美紗樹が本屋へ行くと、蒼が少し照れくさそうに右手を動かした。
『こんにちは。』
ぎこちない手話だった。
思わず美紗樹は笑ってしまう。
「先輩も?」
蒼は照れ笑いを浮かべた。
「富田さんと、ちゃんと話したいから。」
「聞こえなくなっても、話せる方法は一つじゃないでしょ。」
その一言に、美紗樹の目が潤む。
「ありがとう。」
今度は声ではなく、手話で伝えた。
蒼もゆっくりと手を動かす。
『どういたしまして。』
まだぎこちない手話だった。
それでも二人は笑い合った。
言葉は少なくても、気持ちはちゃんと届いていた。
二人は、本だけではなく、新しい言葉でも心を通わせ始める。
それは、「相手に合わせる」のではなく、「同じ景色を見たい」と願った二人だけの、小さな一歩だった。
美紗樹は病院の帰りに、一冊の手話の入門書を買った。
家へ帰ると、慣れない手の動きを何度も繰り返す。
「おはよう。」
「ありがとう。」
「またね。」
鏡を見ながら、一つずつ覚えていく。
最初は思うように指が動かなかった。
それでも、美紗樹は諦めなかった。
聞こえない日が来ても、大切な人と話せるように。
その願いだけを胸に、毎日少しずつ練習を続けた。
数日後、本屋を訪れる。
「こんにちは。」
蒼はいつものように笑顔で迎えた。
美紗樹は少し照れながら、ぎこちなく右手を動かした。
『こんにちは。』
たどたどしい手話だった。
蒼は驚いた表情を浮かべる。
「手話……?」
美紗樹は小さくうなずいた。
「少しずつ、勉強してるの。」
「まだ全然できないけど。」
その日の帰り道。
蒼は一軒の書店へ立ち寄った。
手に取ったのは、美紗樹と同じ手話の入門書だった。
「僕も、覚えよう。」
その言葉を聞く人はいなかった。
翌週。
美紗樹が本屋へ行くと、蒼が少し照れくさそうに右手を動かした。
『こんにちは。』
ぎこちない手話だった。
思わず美紗樹は笑ってしまう。
「先輩も?」
蒼は照れ笑いを浮かべた。
「富田さんと、ちゃんと話したいから。」
「聞こえなくなっても、話せる方法は一つじゃないでしょ。」
その一言に、美紗樹の目が潤む。
「ありがとう。」
今度は声ではなく、手話で伝えた。
蒼もゆっくりと手を動かす。
『どういたしまして。』
まだぎこちない手話だった。
それでも二人は笑い合った。
言葉は少なくても、気持ちはちゃんと届いていた。
二人は、本だけではなく、新しい言葉でも心を通わせ始める。
それは、「相手に合わせる」のではなく、「同じ景色を見たい」と願った二人だけの、小さな一歩だった。