思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「うわぁああ!」

 愛する人の悲痛な声を目の前で聞かされる身にも、なってほしい。
 このままここに留まり続けていたら、おかしくなってしまいそうだ。

(そろそろ、頃合いね……)

 ガルドラが王配になると決まった以上、いつまでも心無い視線に晒され続ける謂れはない。

「着いてきなさい」

 野良犬はこちらの命令を「待ってました」と言わんばかりに、立ち上がる。
 そのあと、リベルラが差し出した手に指先を絡め合った。

「喜んで」

 彼は上機嫌な様子で鼻歌を響かせながら、リガルドの横を通り過ぎた。

「リベルラ……」

 幼馴染は何か言いたげにこちらの名を呼んだが、民の見ている前で敗者に労りの言葉をかけるわけにはいかない。

(こうなってしまった以上、幼馴染に対する気持ちは捨て去るべきよね……)

 未練があるような素振りを見せた瞬間、足元を掬われてしまうのだけは絶対にごめんだった。

(さようなら、リガルド……)

 リベルラは心の中で大好きな人に別れを告げると、勝者とともに王城へ向かう馬車へ乗り込んだ。
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