思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「僕に名前をつけてくれるなら、いいよ。なんでも言う事を聞こう」

 こうして少年は、一縷の望みをかけ、差し伸べられた手を自ら掴んでしまった。

「なんと! 名前すらも持たず、年齢も合致するとは……! なんという、僥倖か! 天が我に味方をした、証拠ですぞ!」

 伯爵は心底嬉しくて堪らないと言わんばかりに、歓喜の声を上げる。
 その後、少年の手をしっかりと握りしめながら、はっきりとした口調で言って聞かせた。

「そなたの名前は、今日からリガルド。モルデント伯爵家の、嫡男ですぞ!」
「僕が、伯爵家の息子……?」
「さぁ、参りましょう。伯爵様が、お待ちですぞ!」

 リガルドは状況をうまく飲み込めぬまま放心状態に陥っていたが、男はそんな少年をこれ幸いとばかりにスラム街から市井の外へと引っ張っていく。
 その様子を偶然見かけたガルドラが見かねて声をかけてきたのは、それからすぐのことだった。
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