思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
 精神的な負荷は強まり、リガルドは未だに自分が幸せな生活を送っていると胸を張って言えない。
 そんな日々を、どうにか怠惰で生きている。

 すべては、養父との約束を守るために……。

 だが――。
 己の人生はガルドラの反対を振り切り、自ら選び取った道だ。
 泣いてスラム街に戻るわけにもいかず、必死に「殿下から愛されて幸せな護衛騎士」という仮面を被り、吐き気を催しながらも彼女を慈しみ続けた。

(あと少しだけ、頑張ればいい。婚儀を終え、子を成せば、僕の役目は終わる……)

 ――そう何度も言い聞かせ、己を奮い立たせて必死に自らを偽り続ける。
 そんな生活は、想像もしていないところからの横槍によって、あっけなく終わりを告げた。

「勝者! ガルドラ!」

 準決勝で、決勝進出を確実視されていたクロドノルン公爵家の騎士団長が負けた。
 彼の代わりに己の対戦相手となった存在が、11年ぶりに顔を合わせるガルドラだと気づいたせいだ。

 ――あの男は、知っている。
 自分がスラム街出身の“名無し”だったこと。
 モルデント伯爵家の養子になったこと。
 何もかもを、すべて。
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