思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
 スラム街の“名無し”がモルデント伯爵家の嫡男となってから、11年の時が過ぎた。
 長い間自らを偽り続けた結果、24歳の青年は、すっかり嘘をつくのが上手になった。

(僕はいつになったら、ありのままの自分を彼女へ見せられるようになるのだろうか……)

 養父の思惑通り、リベルラはリガルドに懐いてくれた。
 好意を持っているのは誰がどう見ても明らかで、「殿下の伴侶として選ばれるのは護衛騎士のモルデント卿に違いない」と噂されるほど、いい関係を築き上げている。

 しかし――。

 リガルドは、どうしても彼女を好きになれなかった。

(彼女の輝きは、成長するに連れてどんどんと増していっている。僕が大嫌いな、太陽みたいにみんなを明るく照らす、光……)

 養父の命令でなければ、自分は間違いなくリベルラを遠ざけていただろう。
 いずれは王配となり、肌を重ね、己の子種を植えつけ子を為すなど、考えるだけでもゾッとする。

(結局、貴族になっても、苦しみからは逃れられなかったな……)

 衣食住は確保されたが、それだけだ。
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