思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
 父親に唆され、脅されていたせい。
 これまで隠されていた真実が、明らかになった瞬間だった。

(誰だって、自分の命が惜しいわ……)

 夫を始末さえできれば、己が手に入る。
 王配にさえなれたら、この国も意のままに操れる。
 そう、幼馴染はなんの疑問もいだくことなく、信じきっているようだ。
 そこにこちらの意思を思いやる優しさなど、1ミリも感じられなかった。

(早く、ガルドラに伝えないと……!)

 リベルラは音を立てぬように細心の注意を払い、無我夢中で来た道を戻り、目的地を目指して隠し通路を進む。

 ――右、左、右、右。

 何度も曲がり、到着したのは――。
 執務室の、暖炉だった。

「ぁ……っ!」

 リベルラが声を漏らしてしまったのは、勢いよく回転扉へぶつかったせいだった。
 ゴロゴロと音を立てて、室内へ転がってしまう。
 全身を打ちつけ痛がる余裕など、今の自分には存在しない。
 ここが熱心に公務に取り組むガルドラがいる場所だと、自覚していたからだ。

 女王とは思えぬ惨めな姿を晒しながら芋虫のように床へ這いつくばっていた己は、恐る恐る周りを見渡し――。
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