思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「いやぁ……っ!」

 幼い少女のか細い悲鳴が、風に乗って聞こえてきた。

(スラムの奴らじゃねぇな)

 子どもたちには大人から襲われた際、大声を上げて助けを求めるように指示を出している。
 それを守っていないのであれば、余所者か、初めてこの場所に捨てられた新入りの2択だろう。

「ぐへへ……っ。嬢ちゃん、ここがどこだか、わかってんだろ……?」
「大人しくしな。今から、極上の――」
「そんなこと、させるわけがねぇだろうが」
「ぐはっ!」

 ガルドラは懐から古びた短剣を取り出し、少女に襲いかかる薄汚い笑みを浮かべた2人組の男たちを伸した。

「わぁ……!」

 軽やかに地を蹴り、自分の3倍はあるであろう背丈の男性を軽々と地面へ叩きつける。
 類稀なる身体能力を見せつけられた少女は、紫色の瞳をキラキラと光り輝かせて歓喜の声を上げた。

「あなた、とっても強いのね!」
「弱いとここじゃ、生き残れねぇからな」
「この私を守ったこと、褒めて遣わすわ!」

 ――第一印象は、最悪だった。
< 172 / 241 >

この作品をシェア

pagetop