思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
(しっかりなさい。ここで狼狽えたら、今までの努力が水の泡よ)

 己の一投足が、国民達に見られている。
 ここで不甲斐ない態度を取れば、政権は一気に傾くだろう。

 前王が亡くなったあと――ただでさえ年若い王女がなんの準備もできていない状態で即位したと、国の中枢を担う重鎮達から難色を示されていたのだ。

(小娘だろうが、なんだろうが、勝手に言わせておけばいいのよ。たとえこの男と夫婦となり、自らの幸せを得られなかったとしても、構わないわ)

 リベルラが最優先にするべきは、国民達の幸福。
 己の幸せだけを追い求めて民を苦しませるよりは、ずっとマシだ。

 だから――。

 これからも彼らを不安にさせないように心を殺して、己を偽り、誇り高き女王の仮面を被り、嘘をつく。
 この国が己の犠牲により、豊かに発展していくことを願って――。

「あなた、だけが……。私の伴侶に、ふさわしい……」
「リベルラ……」

 リベルラは何度も言葉を詰まらせながら、心にも思っていない言葉を棒読み気味に吐き出した。
 その姿を目にした幼馴染が、切なげに瞳を潤ませるのが見えた。
 その姿は、まるで捨てられた子犬のようだ。
< 8 / 12 >

この作品をシェア

pagetop