お見合いの失敗理由は妹が美し過ぎたせい。

13.夫Side

「あ~~~っ」
「ぅ~~~っ」

 双子の赤子は、今日も元気一杯にハイハイをしている。
 好奇心旺盛で、あちらこちらに移動する。
 まさか、双子が誕生するとは夢にも思わなかった。
 双子の男女。
 王妃の懐妊と出産に、王国中が歓喜した。
 嫁いで七年。
 妻には、苦労ばかりかけてしまった。

「おぁ~~~」
「おぉ~~~」

 何を言っているのか、さっぱりだが、そんな子供たちを相手にしている妻の横顔は嬉しそうだ。
 憂いの対象でしかない妹君からの手紙も、もう届くことはないだろう。
 兄や姉に手紙を出すことすら禁止されているはずだ。いや、あの頭のおかしな妹君のことだ。「出すな」と言われても出すだろう。彼の妹君はそういう女性だ。
 もっとも、帝国の城は皇帝の母君が取り仕切っている。城の中で適切な判断の下、あの忌々しい手紙は処理してくれるはずだ。

 カロリーネは、妹君が赤子を自分に見せたいが故の行動に、終始困惑していた。
 最初の子ならまだしも、四番目の子だ。何故? と思うのも無理はない。
 まあ、大多数が「どういう意味だろう?」となる。深く考えるものではない。意味がないからだ。あの妹君は、言葉通りなのだ。
 生まれた子供を姉に見せたかった——ただそれだけ。
 たったそれだけの理由で行動した。
 実に馬鹿馬鹿しい話だ。

 カロリーネに子供が出来ない、と思い込んでいた。
 だから自分の赤ん坊を見せてあげよう、と考えたのだ。
 赤ん坊をほしくとも出来ない姉に、生まれたばかりの娘をみせてあげよう——と。

 妹君は、情報収集が苦手なようだ。

 カロリーネに子供が出来なかったのではない。
 それ以前の問題だった。
 彼女がソル王国に嫁いできてくれた数ヵ月後に戦争が勃発し、私は王として戦場にいた。
 王宮の政治を嫁いだばかりのカロリーネに任せてしまったのは申し訳ない。政治に明るいカロリーネのお陰もあり、戦争に勝てた。それが二年前だ。

 大方、マウントでも取ろうとしていたのだろう。

 自分のほうが姉より幸せなのだと。
 自分のほうが姉より上なのだと。
 自分は子供がいる、姉はどうか——と。

 優位性を誇示したかったのだ。
 まるで子供のような発想だが、あながち間違ってはいないだろう。
 そうして行動した結果が、我が子の死である。
 自室に閉じ込められるのは当然だ。
 自由など与えては碌なことをしないのだ。
 なら、その自由を無くしてしまえばいい。
 彼の妹君にとっては耐え難い毎日のはずだ。
 さぞ息が詰まる日々だろう。

 妹君の未来は暗い。
 子供が産めなくなる年齢まで飼い続けられるのだ。
 フランツ皇帝は、それを知らされていないが、それは別に大したことではない。
 若くしてあれだけ産んだ妹君だ。
 あと二十年は十分子供を産める。
 二十年後なら、皇帝を惑わした美貌も衰えているはずだ。
 皇帝の寵愛すら失った妹君に残された道は、ただ一つ。
 病にての、急死——
 それ以外にないだろう。

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